何でもあって何にもない

気づいたらアラサーに成っていた。日々あまりにパッとしなさすぎるので、折角だから色々記録してみる事に。

ウニ作文の話

研修で書いた文章を記録の為に残す。

40分くらいでやっつけで書いた物なので知ってる人によまれるの恥ずかしいが、元のデータを消すので、こっちに残しておきます。

既に会社の人間にはよまれてるのでまぁいいか。

だいたい物語を作るときテーマソングを勝手に決めて聞きながらかいてるんですが、

今回は安藤裕子を聞いて書いた記憶ある。

 

一人称で書くので、お前の自意識なのか?と講評をしていた人にも言われたが、別に曲を聞いてて出てくるイメージの映像を基に想像しているだけなので、完全に他人事なんだよな。

 

色々音楽聞いて色んな光景を想像するの楽しすぎる。

これと近い理由で、たまに聞いてる音楽と呼んでるマンガとかがめちゃめちゃリンクするとやばい薬決めてんのかな?くらいトリップする時あるので、その組み合わせを見つけるのが密かな人生の楽しみ。

私の場合小説とかだと情報処理に脳みそが追い付かないので、インストしか対応できないですが。マンガだとボーカルありでもシンクロできる。

 

良い組み合わせしってる人いたら教えてほしいです。

 

 

 

 

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【kill me  kill me】

 

『本日のゲストは女優の『坂田 海』さんで~す』

 

司会の女の声が響く、目の前の布が開く、スタジオの照明はまぶしくて目に痛い。

この手のトークバライティ番組、嘘をつきすぎない様に質問を受け流すのが面倒だ。

 頼まれた自宅の映像、飼いネコを中心に撮ってなるべく部屋の細部や家具は映さないようにした。

『海さんは猫ちゃん飼われてるんですね~!しかも、名前がちょっと変わってるって聞いてるんですけど~』

「ふふ、そうなんですよ、この子女の子なんですけど『横綱』ってよんでて~」

これは本当

「最初はかわいい名前ちゃんと付けてんですけど、なんだかドンドンおっきくなっちゃって、それで自然に友達とかも「横綱」って呼び始めちゃって」

これは嘘、最初から名前は横綱って決めてた。

 

「やっぱり女優さんって食事とか気を使ってるんですよね~?」

いや、絶対君たちアイドルのが気を使ってるでしょ…、なんならこっちは仕事柄太らなきゃいけないこともまぁまぁあるし、と言いたいところを堪える。

「いや~、なるべく運動はするようにしてますけど食事はそこまで厳しくしてないかな~食べる事大好きなんで~」

なるべくとかじゃなくてめちゃめちゃ運動してるし、食べる事は大好きでも食べたい物を好きなだけ食べるなんてしばらくしてないけどね。

『食べ物の好き嫌いとかあるんですか』

「や~全然ないです、結構なんでも食べれちゃうんですよ~」

これは本当、とうふは苦手だけど。

 

『やっぱり学生の頃からモテたりしたでしょ~』

「えぇ~全然そんなことないです。地味な子でしたし、ふふふ」

きた、学生時代の質問基本NGって事務所には言ってあるのに聞いてきた。後でマネージャーにクレームだ。

 中身のない話を2時間弱しゃべった。全部ウソでもないけど、全部本当でも無い話。

これが色んな人の手を通って30分くらいにまとめられて、電波に乗って人様に見られる。そして私のイメージが出来上がる。

 

疲れて帰る家、ドアをあければ横綱が迎えてくれる。

横綱」10代の頃の私と同じ呼び名の猫。私の分身。

 

地味で引っ込み思案だったせいか家で遊ぶことが多くて、運動も好きじゃなかった、なのに骨格は恵まれていた。

中学生になる頃には、背が大きくて目立つのが辛くて猫背になった。見られたくなくて家にばかりいるようになったら、面白いくらい太った。

綱島 海」四股名っぽさあふれる本名、ついたあだ名が「横綱」。付けたのは当時好きだった男の子だった。

暗い私が、家で引きこもって、同級生からからかわれるのを家族は半ば仕方ないくらいに思っていたようだ。

 大学に進学と同時に地元から離れたのをきっかけに、自分を変えたくて死ぬ気でダイエットをした。とうふを主食に据えて見るのも嫌になるほど食べた。

毎日、体重と走った時間を携帯のダイエットアプリに記録し続けた。

脂肪がおちて、姿勢が良くなるのには1年かかった。

背が高い事が幸いして、モデルにスカウトされて、たまたまチョイ役で出た映画が批評家達に好評で、気づいたときには女優と呼ばれるようになった。

 事務所にお願いした事は本名を出さない事と、中学・高校時代の写真は出さない事。

私は10代の頃の自分自身を抹殺する事にしたのだ。

 代わりに私は猫を飼った。名前は「横綱」私が殺した10代の私の身代わり。

愛せなかった当時の自分への償いの様に私は「横綱」を愛で、甘やかす。

どんなに太っていても世界に1匹だけの君が大好き、

どんなに鳴き声が可愛くなくても、目つきが悪くて、愛想がなくても貴女の代わりはいないのよ。大好き。愛してる。

あの頃の私が言ってほしかった事を、全部彼女にいってあげる。

 

そして私は今日も大っ嫌いな豆腐を食べる。そして体重を計る。

私は今も過去の自分を殺し続けている。

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